2006年09月22日

【暮らしの相談】
内縁相手が『全財産を私に残す』という遺言状を残してくれましたが印がなかったため、内縁相手の兄弟がそれは無効だと言って来ました。この遺言は無効でしょうか?

 私は、甲男と20年間内縁関係にあり、甲男には妻も子も無いので、甲男は全財産を私に残すことを良く口にしていましたが、昨年の暮れ、遺言状として、「私が死んだら、全ての財産は○○子(私)に与える。日付 甲男」との文書を渡してくれました。

年明けして暫くすると甲男が亡くなり、間もなく甲男の弟という人が現れたので、甲男から受け取った遺言状を見せると、「遺言状には印が無いから無効。全財産を引き渡すように。」と言われました。私は全財産を甲男の弟に引き渡さなければならないのでしょうか。

 貴女の受け取った遺言状と言う文書が、自筆証書遺言と考えれば、法律(民法968条1項)に厳格な要件が定められていて、全文自筆で書くこと、日付、署名、捺印の一つが欠けても遺言は無効になります。今回の遺言状も印が無いようですので、自筆証書遺言としては無効です。

しかし、甲男は自分が死んだら全財産を貴女に与えるという文書を、貴女も承知の上で受け取っていたのですから、死亡を条件とする贈与契約が成立していると考えられます。この死亡を条件とする贈与契約を死因贈与契約といいますが、遺言としては無効であったとしても、死因贈与としては有効(無効行為の転換)であるとの判例があります。

死因贈与契約が成立しているとすれば、貴女は全財産を甲男の弟に引き渡す必要が無いことになります。甲男の遺産に不動産が含まれているときには、その所有名義を貴女に移転するには、甲男の弟が唯一の相続人であるとすれば、その弟の協力が必要になります。それが無理な場合は、相続人である甲男の弟を相手にして裁判でそれを実現するしかないでしょう。無効行為の転換によって遺産を受ける者の権利が最終的には守られるとしても、相続人が認めてくれない場合には裁判をしなければならないなど、大変な手間がかかります。

はじめから有効な遺言をすることが後の争いを防止し、亡くなった方の意思実現をする最良の方法と言えるのではないでしょうか。

遺言には普通方式として自筆証書遺言の他に、公証人の法律に従った関与が必要な秘密証書遺言(民法970条)と公正証書遺言(民法969条)があり、秘密証書遺言は遺言者の署名と捺印を必要としますが、遺言書は他人でも作成できます。公正証書遺言は、公証人が遺言者の口授に従って作成し、家庭裁判所の検認が不要など一番確実な方式です。

その他、詳しくは専門家に相談してください。



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神奈川県行政書士会 川崎北支部
posted by 川崎北支部 at 21:45| Comment(0) | TrackBack(0) | 暮らしの相談−Q&A− | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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